生うさぎ

遂に「アレ」がやってきた。負け犬の催し「見合い」だ。
年末に本社のおじさんが「早く結婚しろ」としつこいので
「じゃぁ誰か紹介してクダサイヨ」と言ったら年末年始の間に
話をまとめてきた。さすがおじさん、余生のよろこびは
人の世話か。頭が下がる(いや本当に)。


かなりテンションがあがった。遂にオイラも嫁?とか?
膨らむ妄想、膨らむ期待。


滅多に見られぬ、ワンピース姿で出掛けるオイラ。
「あんまり早く行っては格好が悪かろう」と、くだらぬ見栄からギリギリに到着。
当然相手は来ているだろうと思いきや来てねージャン。
おじさんと歓談すること10分くらい。余裕の遅刻で相手登場だ(早速微妙)。


さて、一行はおじさんが会員になっている店へ。
扉が開いた瞬間そこにはバニーちゃんと着物のねーちゃんが立っている。


バニー?初生うさぎだ。ちょっとぷりぷりしていて触りたくなるが
グッと我慢。微笑、少しよそ行き仕様のオイラ。おそらく挙動不審だ。


しかし、相手も負けずに挙動不審だ。なんだか怪しい(重ねて微妙)。


バニーちゃんがコートを預かってくれる。
相手がコートを脱ぐとフリースのベストだ。
(おい、オイラ、ワンピースとかなんですけど
やる気あんのか?この野郎)。


おじさんが新春会席コースを注文。
バニーちゃんが「前菜でございます」「浅羽カレイでございます」と
持ってくる。おかしな図だ。


まず、ビールを飲んだ。相手は結構強いようだ(そこは良し)。
そして、ウイスキーを頼んだ。これがいけない。
グラスが空くとバニーがすごい勢いで作ってくれる。
だんだんなんだかどうでも良くなってきてウイスキー
がぶ飲みする(させられる)オイラ。


おじさんも酔ってきて「趣味で車に乗ったり、飛行機に乗ったりするのは
なにも言われないのに女に乗るのはなんで怒られるのかな」とか
言い出す始末。軽く裏拳を入れて、刺身に日本酒、チーズに赤ワイン、
相手が紅茶を飲んでいるのにオイラは酒の乱れ飲みだ。


「いけるクチですね」と誉め言葉か、いや、明らかに呆れている
であろうこの発言(半ば終了)。


ますますどうでも良くなって相手と「では」と分かれたあとに
おじさんと更に飲みに行ってしまった。おじさんと
つき合ってしまいそうだ(嫁どころか、愛人か)。


帰りの電車ではつり革自転をしたらしく、
座りますか?となんども聞かれてしまう。
なんだか情けなくなったので「ほっといてください」とか
無礼なことを言ってしまう。あ〜あ。


オイラの春はまだまだ遠そうだ。