限りなく日本人 マイヅル (伊香保その2)

オイラの叔母さんは英国人と結婚した。
叔母さんは若い頃から日本人を超越した人で
プールへ行ってマッパになって着替えたり
赤い地に白い星柄の服でオイラを迎えにきたり
小さいオイラには突き抜けた感じのする叔母だった。


叔母はそれから東京ディズニーランドでダンサーをし
英国人の叔父と結婚し、現在は某航空会社でスチュワーデスをしつつ
オーストラリアに住んでいる。華麗だ。


しかし、その英国人の叔父は限りなく日本人だから面白い。
キヨヂに命ぜられ、向かった寿司屋で
梅シソ巻を食べる叔母を尻目に(叔母は生ものがほぼ食べられない)
「すいませ〜ん、マグロ納豆ください」とか
なめこの味噌汁くださ〜い」とか
マグロ納豆食いながら、なめこ汁箸で喰う英国人・・。


オーストラリアの家に訪問した時もなぜか柿ピー食ってるし。
歳をとってきて髪が黒くなってきたら、ヒジキヘアーとか、
おでんの昆布が良かったとか言ってるし
(おでんてオーストラリアで売ってんのか?)。


宿の食事の時間に頭のでっかい女将が現れて
叔父に「日本食は口に合いますか?」とか聞いたから
さあ大変。女将がひいたあとに「外人と見れば
箸使えますかぁ?日本食は口に合いますかぁ?だと?
ふざけるな」とか日本酒を飲みながらぼやいている。
完全に新橋のガード下のおっさんと変わらない。
何を目指しているんだアンタ。
※まぁ、主役は祖父母なので、話を祖父母に持って
 いかなかったのが気に入らないの憤慨の核なので、
 それは正しい、正しすぎる。


しかし、そんな叔父の顔はイタリアマフィアみたいな顔だ。
だれが、なめこ汁箸で食うように見えますかっつーの。
※ちなみに叔父は「マイルズ」だが、オイラのヒイばあちゃんが
 発音できず「マイヅル」と呼んでいたので表題。


そんな叔父が食事の時間にトイレに立ったきり帰ってこないので
叔母が見に行ってみると、部屋でタバコを吸っているまではいいが
何故か眉毛がバックリ切れている。どうやら酔って階段から
落ちて切ったらしい。「恥ずかしい」と言いながら帰って来た。


前日酔って顎を切る姪、当日酔って眉毛を切る叔父。
さて明日は誰かな。


(さらに続く)